AlternatePower for W-ZERO3
ニッケル水素電池4本から+5vを生成する
単三電池5個で外部電源を作って、使ってみると便利といえば便利なのですが。
なんとなくポケットに入らないサイズなのがアレです。カバンに入れるとかZERO3本体と重ねるようにして手持ちとか、なんかちょっと邪魔な感じ。回路を小さくしたら使いやすくなるかな、と思ってレイアウトを検討してみても、なんか結局使いやすい大きさになってくれません。
これが単三電池4本になって電源回路が小さくなれば、もっと使いやすそうです。
昇圧チョッパICの定番といえば、MC34063あたりが思い浮かびます。1.5AのスイッチとPFM制御回路が内蔵され、分圧抵抗2本とコイルとダイオードとコンデンサを各1個つけてやるだけでブーストコンバータを作ることができます。
ただ、ここに出てくる1.5Aってのはコイルに給電するときに流せる電流値。負荷電流を1A取るためには、ピークスイッチ能力はその3倍程度必要になることでしょう。
500mAとか300mAを取れる外部バッテリーは安価で種類も多いのに、それを超える電流を取り出せるものは急に高価になってしまうのは、このあたりに理由があります。
MC34063で1.5A以上のスイッチング能力を持たせるには、外部にパワートランジスタを追加する方法があります。ここにMOSFETなど使うとON抵抗も少なくよさそうです。
と思っていろいろ試してみたのですが、上手く行きません。
MOSFETのゲートに与える電圧がどうしても十分に取れないのです。電池4本(最低4v)が電源で、しかもMC34063内部のダーリントントランジスタで電圧降下してしまうので、ゲート電圧はとても低い値になってしまいます。一般的に手に入る4v駆動型のMOSFETは使えません。
ここにバイポーラTrを使うなら電流さえそこそこ流せば動作するのでしょうが、飽和時のVceがそれなりの値になるので、効率は相当悪くなりそうです。
そこで、MC34063以外のICを使って解決することにしましょう。
・1A負荷、もしくはピークスイッチ能力3A以上
・可能な限り少ない部品で動作する
・入力電圧範囲4〜8v
という条件で探してみると、いいのがありました。
ナショセミのLM2621。
小さいのに2.8Aスイッチを内蔵し、1A出力が可能です。
動作電圧範囲も申し分ありません。
これは使いやすそうです。
回路図 (JPEGファイル)
ほとんどデータシートそのまんま。
あまり難しい検討なしで使えます。
コイルは3A流せるものを使ってください。SBDは1A流せれば十分。
1S4はとても小さいので採用しましたが、少し順方向電圧が大きいですね。
とりあえず、リセットICを使ってローバッテリー警告LEDを点灯させ昇圧動作を停止する回路を付けておきました。3.6vで警告を発しますが、これは致命的なダメージを与えないギリギリの電圧。本当は4.0vの方がよろしいです。
ただ、このままではローバッテリー状態でも電流を完全に止めることができないので、放置しておくと過放電で電池をいためます。
未検証ですが、こんな感じにして電源カットした方がいいかもしれません。
回路改良案 (未検証)
おおまかに実体配線の予定図など。あくまで予定です。
インダクタやLM2621はRSコンポーネンツで購入。
品番 349-4773 LM2621MM
品番 396-3314 インダクタ, 面実装, 744 561 0, 10uH, 2.9A
ピッチ変換基板とユニバーサル基板を使います。
アイテムラボ SOP8-P65(4)
ユニバーサル基板はスルーホールのものを使うとインダクタの取り付けが楽です。
抵抗(特にR2)の場所や配線を工夫して、必要に応じてIC裏で空中配線してやると25mm×35mmの基板(タカチ
TNF25-35)に納まります。LEDは基板の上に実装しない方がよいでしょう。
本当のことを言うと、LM2621は両面基板に面実装部品を使うともっともっと小さく作れるんですけどね。
正直、効率は降圧チョッパにかないません。
でも外形がコンパクトにはなりますので、使い方によっては便利かも。
できるだけニッケル水素電池を使ってください。
三洋のエネループがおすすめ。あれはとてもいい電池です。
アルカリ乾電池の使用は、初期電圧は6v以上になりますので積極的にはお勧めしません。ダイオードで少しは電圧降下しますが、それでもなんとなく電圧は高めになります。それにアルカリ乾電池の苦手な大電流を引っ張り出す動作をしますので、すぐ寿命が来るでしょう。