その4 エアクリーナ編(2)
今回は毒きのこだ
今回は本格的に「毒きのこ」といきましょうか。
純正のエアクリーナボックスごと取り外して交換してしまうタイプのエアクリーナーで、その形状からそう呼ばれています。
取り換える前に、このタイプのクリーナーの特徴を押さえておきましょう。
フィルター部の表面積が稼げるため、吸気抵抗が低下します。
よりたくさんの空気を供給できるようになるわけです。
最大出力やレスポンスを改善するのに役立ちます。
吸気口は大きく短くすればよいかといえば、それほど単純な話でもないのです。逆に細く長い方がいい場合もあります。
では実験してみましょう。
大きく速く息を吸ったり吐いたりしてください。
この時は「はぁはぁ」と大きな口を開けて呼吸しますよね。空気抵抗が減るからです。
今度はゆっくりで構いませんので、胸いっぱいに息を吸い、肺の中の空気をすべて絞り出すように吐いてください。
どうですか?
口を小さくすぼめて吸ったり吐いたりした方が楽ではありませんか?
口をすぼめると抵抗は大きくなるはずなのに、なぜでしょう。
細く長いところを空気が通過すると、流速が上がり勢いがついて、たくさんの空気を招き入れようとする力が働きます。
これを「慣性過給効果」といいます。
低速時にはこの力に頼った方がトルクは出ます。メーカーが純正の吸気系を設計するときには、高回転時の吸気抵抗が増えるのには若干目をつぶって低速トルクを得るように設計していることがあります。
また、細長い管の中で共鳴させることを狙って長さを決定していることもあります。
そういった効果が得られなくなる分、最大出力は増加しても低速トルクは減るかもしれません。
上の写真を見るとわかると思いますが、クリーナーの根元にセンサーが付いています。
これはエアフローメーターといって、どれだけの量の空気が通過したかを測っています。
空気量を測って、それに比例した量のガソリンを混ぜてやるためのもので、結構正確に測れるらしいです。
ただ、このセンサーには弱点があります。
空気取り入れ口からエンジンの入口までの長さと形状が違うと、同じ量の空気が通っても違う値を示してしまいます。
エアフローとエンジン制御コンピュータとのマッチングは、純正の吸気系に限って成り立っているのです。
吸気系のどこをいじってもマッチングがずれる可能性があり、日産車はたいてい空燃比を薄くする方に狂います。
これを電気的に補正する装置が市販されていますので、それを使うという手もあります。
ただ、SR20DEエンジンの場合、それほど神経質にならなくてもいいようです。
ノッキングが出るほど薄くはなりませんし、ノーマルよりも若干薄くなった方が吹け上がりはいいかも。
アクセルを踏み込むと「シューッ」という音が聞こえてきたりすることがあります。
好きな人にはたまらないことでしょう。
ただ、ターボエンジンでもないのでそれほど大きな音はしないのですけれど。
エンジンルームの熱い空気を吸い込んでしまうかもしれません。
冷たくない空気を吸わせると、性能が低下する可能性があります。
比較的発熱量の小さいエンジンですし、位置的にも離れているので、今すぐ対策しなくてもいけそうです。
でもいつかは自作する方向で考えておきます。
案外見逃せないポイント。
これだけのために取り換えてもいいくらい。
…さて、つけてみる気になりましたか?
HKSの「スーパーパワーフロー」には、P11用のキットがあるので装着には困らないと思います。
それ以外では、あまり見かけませんね。
他車種のキットを流用して取りつけるのもひとつの方法です。
S14シルビア(NA)用を買ってくると、エアフロのねじ穴位置も合って取りつけやすいはず。実験してませんが。
PS13用やP10用を買ってくるとねじ穴位置が合いません。ドリルで穴あけ加工が必要になります。
今回のお題は、BLITZのSUS POWER。銀色に光るステンメッシュが美しい逸品です。
PS13用で程度のいい中古が入ったので、それを加工して取りつけることにします。
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